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アオシマとフジミの1/72 10式戦車を作り比べる その1

10式戦車

ヒトマル(陸上自衛隊10式戦車) って超かっこよくないですか。 特に砲塔の切れ込んだ複合装甲が最高にかっこええですよね。

2011年の富士総合火力演習(そうかえん)で試作車の展示を初めて見ました。かっこええ。 2012年の総火演では制式化され、動くところを初めて見ました。スラローム射撃すげえ。

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2012年8月25日 富士総合火力演習にて。珍しくSIGMA DP1で撮影したもの。

今回はそんな10式のプラモの話です。

10式戦車のプラモ

20年ぶりの自衛隊の新型戦車ときたら、プラモ各社も黙っちゃいません。

最初に製品化したのはフジミでした。2011年7月に試作車を原型として1/72で発売してします。買いました。プラモ復帰の練習台として3台は製作しましたよ。おうちの事情(狭い)でミニスケールメインとなる私には大変ありがたい。これでフジミのファンになりました。

その後、大本命タミヤが1/35ミリタリーミニチュアシリーズで2013年7月に発売、フジミはタミヤに負けじと同2013年7月に量産型を新金型で発売しました。こいつも当然製作しました。

その後はタミヤが1/16(2014年12月)、1/48(2016年7月)とシリーズ展開していくかたわら、アオシマが2019年1月に1/72 10式を発売したのでした。ここに至って日本のメーカー2社から同スケール1/72で10式が並んで販売されたことになります。大変めでたいです。

ホビーサーチ https://www.1999.co.jp さんから検索した10式プラモの年表はこんな感じです。

発売年月 メーカー スケール 品目 ひとこと
2011年7月 フジミ 1/72 10式戦車(原型は試作車) 記念すべき初プラモ化
2012年4月 フジミ 1/72 10式戦車試作3号車 ドーザー付き
2012年7月 アオシマ 1/48 リモコン10式戦車
2012年11月 ピットロード 1/144 10式戦車3両入り
2013年2月 フジミ 1/72 10式戦車試作3号車 全国戦車部隊デカール付き
2013年7月 タミヤ 1/35 10式戦車 10式プラモの本命
2013年7月 フジミ 1/72 10式戦車 量産型 タミヤと同時にぶつけるフジミの意地
2013年10月 フジミ 1/72 10式戦車 量産型 部隊デカール付き
2014年1月 フジミ 1/72 10式戦車 量産型 ドーザー付き
2014年3月 タミヤ 1/35 10式戦車 エッチングパーツ/戦車教導隊代表マーク付き
2014年12月 タミヤ 1/16 10式戦車 ディスプレイモデル 定価5万円オーバー!
2016年7月 タミヤ 1/48 10式戦車 準本命、1/48
2018年7月 アオシマ 1/72 10式戦車 73式特大型トレーラー付き アオシマからも1/72が!しかしトレーラーとのセット…。
2019年1月 アオシマ 1/72 10式戦車 1/72でフジミと揃った
2019年3月 フジミ 1/72 10式戦車 2両セット

アオシマとフジミの1/72 10式を比べたい

というわけでアオシマとフジミの1/72 10式が出揃ったからには、どちらのプラモを作るべきか、再現度、作りやすさ、コスパなどなどが気になるわけですが、ネット上にはそれらを比較した情報が驚くほど少なかったのです。 冷静に考えれば、いくら自衛隊の最新戦車とはいえ、多くはないAFVプラモ人口のうち、主流の1/35ではなくミニスケール1/72となるとそりゃ情報も限られてきますよね。

それならば、やるしかあるまい。両方買ってきて作り比べることにしました。2019年11月のことでした。

最終的には組み立てて完成品を比べてみるつもりですが、今回はまず組み立てる前の状態で比べて分析してみます。

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左がアオシマ、右がフジミです。フジミは2両セットなのに箱の面積はかなり小さめです。 そのぶんフジミは高さがあります。

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アオシマの外箱(サイド)です。前傾姿勢や低姿勢を作れることが売りです。

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フジミの外箱(サイド)です。実物大写真が載っています。履帯のゴムパッド部品がボーナスパーツだそうです。

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開けてみました。フジミ(右)のみっちり度がすごい。それもそのはずフジミは2両セットだからですが、理由はそれだけではありません(後述)。

ランナー比較

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アオシマです。成型色は濃緑色で、履帯は黒ですね。ヘッドライト、ウインカー部分がクリアパーツになっています。あとエッチングパーツが付属しています。これはポイント高い。

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フジミです。1両分です。成型色はサフのようなグレーです。

…なんかやたらパーツが多いですね。これ2両分なのでは?車体も砲塔も2セットありますが? と言いたくなりますが、これで1両分なのです。 これは歴史的経緯がありまして、フジミは当初試作3号車を製品化しており、その後一部のパーツを追加更新する形で量産型を製品化したのです。

そのため試作3号車のパーツが余剰部品として入っているわけですが、それがやたら多い。 これが箱にみっちり詰まっている理由です。 車体上面、側面、砲塔下面、砲身などの大物がまるまる余剰です。 なお履帯も2セットありますが、右から2列目のパーツがびっしり並んだランナーはボーナスパーツのゴムパッド付き履帯です。こんなん作る人いるのかな…。

砲塔

以降、個々の主要パーツごとに比較してみます。 同じ10式ですが、よくよく見ると両社意外と形状が異なっています。細かいところはおいおい作成しながら紹介するとして、組み立て前に気づく部分を見ていくことにします。

以下、左の成型色グリーンがアオシマ、右のグレーがフジミです。

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砲塔です。あまり違いはないですがほんの少しフジミが縦長ですかね?

車体上面

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フジミ(右)は車体上面後部のメッシュがモールドされてないです。砲塔の直下なので見づらく、先発のフジミとしては取材しにくい場所だったのでしょう。

それ以上に大きな違いは砲塔の取付け穴です。 穴の大きさはともかくとして、穴の中心がアオシマ(左)は車体前方にあるのに対し、フジミは車体中央近くに来ています。どうやらこれはフジミ10式の大きな欠点のようでして、実車の砲塔の回転軸(砲塔リング)はアオシマのように前方寄りが正しいようです。

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足回り

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サスペンションなどの足回りは、アオシマがかなり情報量が多いです。また、フジミは上部転輪が省略されています。10式はサイドスカートがあるので試作車の頃は転輪の詳細が取材できなかったのかもしれません。

デカール

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こちらはフジミ(右)が頑張っています。部隊マーク、細部ともフジミの方が多いです。 ただし、車体番号95-4152とかを再現するために数字1桁ずつバラバラのデカールにする(④)というのはやりすぎぜよ…。

まとめ

製品コンセプト的には、後発のアオシマはクリアーパーツとかエッチングパーツが付属して差別化を図っていますね。 対して先発のフジミはいち早い製品化が素晴らしかったのですが、現在は2両セットでボリューム勝負と。

また、後発で設計が新しいアオシマのほうが形状の正確さややモールドの細かさは上のよう。 とはいえフジミが手を抜いていたとかではなく、先ほどの年表の通りフジミは早い時期から果敢に製品化してくれていたので、いたし方のないところです。 実際タミヤより先に出たフジミの10式を私は作りまくりましたからね。

さて、以降は製作しつつ比較していこうと思います。