完成しました
アオシマとフジミの1/72 10式戦車、完成しました。
今回は 完成写真ギャラリー と、両モデルの違いの じっくりねっとり比較 です。
完成写真ギャラリー
左がアオシマ、右がフジミです。
実は2台の迷彩パターン、緑と茶が入れ替わったものになってます。迷彩パターンは多少アレンジしつつもだいたい説明書に従ったのですが、塗り分けは気が付いたら別になってましたw
マーキングについて
部隊や車体番号は詳しくないのであまりこだわりはないのですが、白の「∧」「∨」マークを使いたかったので 第一機甲教育隊 としました。 そのため車体番号のデカールはアオシマは 1機教-2、フジミの方は1機教-1としましたが、どうやら1機教-1には10式が配備されてなかったっぽい。まあよしとします。
ちなみに、第一機甲教育隊は2019年3月をもって部隊廃止され、機甲教導連隊に統合再編されています。
じっくりねっとり比較:砲塔
ここからはアオシマとフジミのモデルのこまごまとした違いを じっくりねっとり比較 していこうと思います。 まずは砲塔。 その2でも塗装前のものを比べてみましたが、完成後の状態でもう一度見比べてみましょう。
車長用サイト、車長用ハッチ、12.7mm重機関銃など
アオシマです。 フジミに比べるとディテールが正確です。
車長用サイトは実車同様に割と目立つので、ホログラムのフィルムを貼ってみました。 また、車長用ハッチは外周に鉄の棒を張り巡らせており、その上にローラーで取り付けた銃架を全周に動かせるようになっているんですが、その鉄棒(いわばレール)がよく分かるディテールとなっています。 ちなみにこの部分は塗装がはがれやすい部分なので黒鉄色+シルバーにしてます。
フジミです。 このへんのパーツは試作車がベースなのか、微妙に実車と異なっていたり、ディテールがいまいちだったりしてます。
- 車長用サイト:明らかに上部が小さい。アオシマと同様、一応ホログラムフィルムを貼ってみた。
- 車長用ハッチ:ハッチの取っ手の形状がアオシマと異なる。外周の銃架用レールが小さい。
- 12.7mm重機関銃:ハンドルなどのディテールが甘め。
砲塔バスケット、アンテナ
アオシマの砲塔バスケットはエッチングパーツ付き。 うんうん、満足感高いです。 ちなみに左側の区画はエッチングパーツで小箱を2個作って前後に並べてプラ部品のフレームに収めるんですがサイズがシビアで、すぽっとジャストフィットしたのは我ながら奇跡的。
地味ながらアンテナ基部のガードはエッチングパーツなのですが、形状がよく見かけるのと異なるんですよね。初期型なのかな。
こちらのフジミの砲塔バスケットはプラ部品のみですが、アオシマよりディテールが精密です。フレームの縦棒が板状で横は丸棒であることがよく分かったりするところとか。 なのでエッチングパーツ付きのアオシマと比べても見劣りしません。
じっくりねっとり比較:砲塔の回転軸(砲塔リング)
その1でも書いたように、 アオシマとフジミでは砲塔の回転軸(砲塔リング)の位置が車体に対してずれています。 言われなきゃ気づかないかもしれませんが、一度気づくと気になって仕方がない部分ではあります。
この違いが完成した状態だとどんなふうになるのか、比べてみました。 結論から言うとアオシマの方が実車に近く、より正確です。
実車の砲塔と車体の位置関係はこんな感じです。
砲塔が真横に向いた場合、砲塔の前端は先端部分がわずかに車体幅よりはみ出すくらいで、砲塔後端は、サイドモジュールの収納ハッチが2つ分か3つ分くらいはみ出す感じです。 また、砲塔が横を向いていても操縦手ハッチは砲塔の下に隠れそうな位置です。
アオシマだとこうです。 砲塔の前端はくさび形部分「>」くらいが車体からはみ出る感じで、砲塔後端は収納ハッチ2つ分くらいがはみ出しています。
フジミだとこう。 砲塔前端は白のV字のデカールあたりが車体の端になっており、砲塔後端は収納ハッチ1つ分がはみ出しています。
アオシマ版を上から見るとこんな感じです。砲塔の回転軸は車体前方寄りにあり、砲塔が真横を向いたとしても砲塔は操縦手ハッチに被るくらいです。
フジミ版です。砲塔の回転軸はほぼ車体の中央にあります。 また、操縦手ハッチが完全に見えています。実車の写真と見比べてみてください。
ということで明らかにフジミよりアオシマのほうが実車に近いと言えます。 なんなら、アオシマよりさらに前方寄りにした方がいいくらいかも。 それにしても操縦手は乗り降りしにくそうですな…。
じっくりねっとり比較:車体
ヘッドライト、ウインカー
実車のヘッドライトは車体に埋め込まれる形で奥まっており、金網でガードされています。 ウインカーはフェンダー上に据え付けられていますが、右にだけ管制前照灯(車体右端の大きめの丸いやつ)があります。 ウインカーのガードの鉄棒は1cmくらいの太さですかねー。
アオシマです。
なんと言ってもヘッドライトガードの金網が再現されているのが素晴らしいです。 エッチングパーツを使うのは実は初めてでしたが、曲げと接着がなかなかうまく出来たのでめちゃ満足してます。 ちなみにほとんど見えませんが、ヘッドライト自体はクリアパーツになっていて、大変良いです。
ウインカーは、ガードの鉄棒がぶっといです…。せっかくオレンジで塗ったウインカーが半分くらい隠れてます。0.7mmくらいはありそうで、リアルに換算すると4cm~5cmとなり、公園の鉄棒ですねw。 どうせならここもエッチングパーツにしてくれればよかったのに。 真鍮線で自作するのはちょっと複雑な形状だったのでやめたのですが、やればよかったかな。
ウインカーの背後には三角形のエッチングパーツを貼っています。 写真だとメッシュがちょっとオーバースケールな感じですが、実物で見てみるとちょうどいい感じの精密感です。
なお、車体下部の牽引フックは、部品を飛ばしてしまったため右側だけの取り付けとなっております。かっちょわるい。さらに、車体正面中央にある白の桜のマークもないです。デカールを失敗したんです。さらにかっちょわるい。そのうち余り物を探して貼ります…。
フジミです。
ヘッドライトはクリアのHアイズに換装しました。 フジミの10式はなにしろ先発の商品化なので、エッチングパーツもクリアパーツも同梱されていません。 なのでここはおすすめのディテールアップのポイントです。 ウインカーのガードの鉄棒はとてもいい形状です。あと分かりづらいですがヘッドライトの間に前方用のカメラがデカールで表現されてます。
実はフジミ10式用の純正エッチングパーツが2019年に1300円くらいで発売されたので、残り1台作るときはエッチングパーツも買うかなー。
車体後部
アオシマの車体後部です。
車体後部はアオシマもフジミもさほど違いはありませんが、 牽引ワイヤーロープがなんかちょっとダルいですね。 左右のエンジン排気口はエッチングパーツにしてますが、フジミと比べても ちなみに中央部吸気口のフィンもエッチングパーツに出来るんですが、製作中は気が付きませんでした。まあ難しそうだったので良しとします。
フジミの車体後部です。
アオシマに比べてモールドの精細さが上です。 牽引ワイヤーロープとか、砲塔バスケットの止め具とか、左右のエンジン排気口とか。
デカールも凝っていて、砲塔の後端に立っている円筒状の環境センサの銘板2枚とか、車体の銘板(「1戦教-1」の右のほう)なんかが再現されています。
まとめ
というわけで5回にわたって日本の誇る最新戦車10式の1/72プラモデル、アオシマ製とフジミ製をを作り比べて分析してきました。 2か月以上かかってしまったのですが、2台の製作自体は1か月くらいなんですよね。blog書くのが遅い…。
結論としては 今買うなら新しいアオシマ製がおすすめ ということになりますね。 やはりエッチングパーツによる精密感(ヘッドライトのメッシュカバーだけでも十分)と、砲塔の回転軸の正しさがその理由ですかね。
フジミは、モールドの繊細さとシャープさがあるんですが、やはり取材時期の差というか形状やディテールの正確さが一歩アオシマに譲る感じです。 ただし、これは主観的なものなんですが、フジミのほうはなんというかプラの素材感がいいんですよね。 ちょっと固めというかソリッドな感触で、ニッパーで切ったりナイフで削ったりするときに形が決まりやすい感じがして、作ってて楽しいです。 10式以降に発売された87式自走高射機関砲とか99式自走155ミリ榴弾砲なんかはまったくもっておススメです。いつか新金型の決定版10式が出たらいいなあと思っております。
おまけ
最後に超かっこいい10式の発砲の瞬間 「発砲炎」 の写真をいくつか。 2018年の富士総合火力演習(そうかえん)での撮影です。
行進間射撃を秒間30コマの連続写真で。 Panasonic LUMIX G7の4Kフォト機能によるものです。素晴らしい。
5台の10式による一斉射撃です。発砲炎ってのは本当に一瞬でたぶん1/10秒くらいしか出ないと思うんですが、1枚の写真にこれだけ発砲炎が並んでいるということはそれだけ各車の発砲タイミングが合っているということで、自衛隊の練度の高さがうかがえます。
(2020/3/21 更新:ギャラリーとそうかえんの写真追加) (2020/5/6 更新:写真の解像度をUPしました。はてなフォトライフの設定変更により横幅1600pxlに)