本命の多砲塔戦車
新型コロナ禍で東京オリンピックの開催がほんとに出来るのかと連日騒がしかった今年2021年の9月ごろ、休日のお供としてズベズダ(Zvezda)の 1/72 ソ連 T-35重戦車を製作しました。
多砲塔戦車として(数だけなら)最強の5個の砲塔を持ち、生産台数と実戦経験の豊富さ(強かったとは言ってない) では随一の、T-35重戦車です。 なお、昨年製作したT-28中戦車も多砲塔戦車に分類されますが、しょせん機銃砲塔だけの3基砲塔です。 本命はT-35でしょうな。
T-28中戦車(トランぺッター 1/72)の記事はこちらです。
組み立て
足回り
組み立て前のランナーの写真を取り忘れたのですが、1/72とは思えぬなかなかのパーツ量でした。 ランナー写真はこちらのホビーサーチさんの商品画像を参考にしてください。
まず転輪。
ちまちまゲート処理しながら車輪を2枚ずつ貼り合わせていきます。
ボギー型転輪が片側4組で両側8組分、1組に4枚で計32枚。
さらに上部転輪は片側5個、両側10個で計20枚。
めんどくせえ。
でもなぜか楽しい。
どうせサイドスカートでほぼ見えなくなるのに……!(※)
※ 見えなくなる悔しさを晴らしました。後述。
足回りを組み終わりました。
モールドはパキパキです。
前後13㎝ほど、転輪の直径ならば7㎜程度のスケールのディテールには見えません。
1/35のプラモです、と言われても分かんないのでは。
砲塔
砲塔を組みました。
5個!
戦車プラモで一番かっこええのは砲塔なので(当社比)、これは5回分の面白さ。
お得すぎます。
一番大きい砲塔が主砲の76.2㎜砲ですが、短砲身16.5口径の榴弾砲なので、対戦車砲としては力不足です。 中くらいの副砲塔は42口径45㎜砲を装備しており、対戦車戦闘はこちらを使ったのでしょう。 小さいのは機銃塔です。 ちなみにこの7.62㎜機銃は各砲塔の同軸にも装備されており、計6挺もあります。
このプラモ、砲口に穴が開いていません。
これはちょっと残念すぎるのでピンバイスで穴を開けました。
主砲は76.2㎜の1/72なので1㎜、副砲塔の45㎜砲(写真なし)は0.6㎜としました。
機銃は…無理でした。
そのほかディテールアップ
排気口も開口しました。
浅く穴を開けた後、1.5mmくらいで拡げています。
ラジエーターファンカバーのスリットは実車では薄い鉄板のようなので、エッジ部分を斜めに削り、薄く見えるようにしました。
キットのままの厚さの裏側と比べると、シャープになったと思います。
サイドスカートも同様にエッジを削ってうすうすにしています。
実車では車輛前方部分は折り曲げがされているので、そこは薄くしないようにしています(黄色矢印)
実車のサイドスカートはこんな感じ。
1cmくらいの厚みに見えます。
この写真の引用元はこちら(http://serkoff.narod.ru/photoalbum11.html)です。 ロシアの個人サイトっぽく、2000年前後にクビンカ軍事歴史博物館で撮影されたと思しきものです。 家族連れの写真が混じっていてほほえましい。
塗装
シャドー吹き
組み立てが終わったので塗っていきます。 ちょうどこの頃安価な充電式のエアブラシを購入したので、使っていきます。
RAYWOODのRW-084というもので、前の世代(2019年~2020年)のものに比べると、
- トリガー操作でエアのON/OFFができるオートスイッチ
- エア圧調節ダイヤルが付いてるため、細吹きも可能(らしい)
- ただしバッテリーは交換式やUSB-C接続じゃない
といったあたりが進化しているようです。
サフを吹いたあと、奥まった部分を黒でエアブラシ塗装します。
いわゆるシャドー吹きになるんですかね。
タミヤアクリルのセミグロスブラックです。
粒子が荒いですね。
基本塗装
T-28中戦車と同じく、VICカラー【4BOグリーン】で基本塗装します。
これで2度塗りくらいです。 シャドー吹きの感じがうっすら残っていますかね。 しかしこのあとさらに塗り重ねしていったらほぼ分からなくなっちゃいました。 まあよしとします。
履帯取り付け&細部
転輪まわりのゴム部分をタミヤアクリル【タイヤブラック】で筆塗りしたのち、ここで履帯を接着しました。
部分連結式で、起動輪と誘導輪の周りだけ一コマずつになっています。
かなりパーツ精度がよく、接着剤なしでも起動輪の歯にぴったり合って外れないくらいだったのですが、なぜか2コマほど余りました。
履帯の塗装はいつものごとくタミヤアクリル【ダークアイアン(履帯色)】です。
基本塗装はほぼ完了したので、牽引ロープ、機銃、OVMなどの細部を塗っていきます。
なぜかガンメタを持っていないので、タミヤアクリルの【セミグロスブラック】と【フラットアルミ】の混色です。
写真ではOVMの木製部分は塗装前の状態です。
デカール
デカールを貼りました。
かっこいいので、砲塔の赤と白のストライプはもちろん貼ります。
おそらくこれはパレードなどのための装飾であり、このストライプの塗装のまま実戦運用されたとは思えず、したがってウェザリングはそぐわないと思うのですが、見た目重視です。
※ でも、日本語版WikipediaのT-35記事にはこのストライプ付きのフィールド写真がありますね…!
ウェザリング
全体を半ツヤのクリアーでコートしてから、ウェザリング開始です。
全体をMr.ウェザリングカラー【グランドブラウン】でウォッシング兼スミ入れをしたあと、足回りの泥汚れを表現します。
泥汚れはMr.ウェザリングカラー【グレイッシュブラウン】とMr.ウェザリングペースト【マッドブラウン】です。
グレイッシュブラウンは彩度があまり高くなく、乾いた泥を少し控えめに表現できるのが好みです。
この色をメインにし、泥の厚みと湿り気が多そうな下部の方は色の濃いマッドブラウンを少し混ぜたりして色味に変化を付けつつ、塗ったくっています。
完全に乾く前に適度に拭き取ったりしてます。
雨だれとサビ表現を付けていきます。
Mr.ウェザリングカラー【ステインブラウン】を面相筆を使って錆の発生しそうなところに置いたり、垂れそうなところに縦に線を引いたり、うすめ液で軽くぬぐってぼかしたりします。
いわゆるストレーキングですね。
ソ連戦車にはほんとに錆が似合いますね(毎回書いてる)。
車体や砲塔の上部には砂ぼこりを乗せます。
Mr.ウェザリングカラー【サンディウォッシュ】です。
ヘッドライトはHアイズで透明化しました。
最後まで残っていた砲塔のアンテナを取り付け、もう少し強調する感じでスミ入れとサビ表現を追加しました。
特にガンメタで塗ったOVMやロープ、予備履帯は鉄サビ感マシマシです。
サイドスカートの着脱化
最後に、サイドスカートをマグネットで着脱できるようにしました。
車体右側だけですが、ネオジム磁石を足回りの前後2か所に埋め込み、サイドスカート裏側にも貼り付けます。
ネオジムのサイズは3㎜×1㎜。
いい感じにネオジムがパーツの隙間にすっぽり入り、ほとんど加工も要らず、あまり目立たないようにできたと思います。
これでひとまず完成としました。 すでに2021年10月も終わりごろでした。